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敷金精算・原状回復トラブルで必要な判例をまとめました

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判例2

最近、原状回復に関する問い合わせが増えてきました。

当サイトでも敷金トラブルに関していくつか掲載しておりますが、お話しをお伺いすると「どのように言えばいいのか分からない」「反論する知識がなかった」という話が多くありました。

原状回復、敷金精算などのトラブルで多いのが主に「クロス貼り替え」と「ハウスクリーニング」です。

今回はしっかりと反論できるように、根拠となる判例を集めてみました。

宜しければご参照ください。

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特約があっても無効

 
もし、あなたが多額の原状回復費用を請求されてしまった時、おそらく管理会社に「契約書に書いてある」「サインしてある」といわれる事でしょう。

でも裁判所では、原状回復についてしっかりと説明しております。

原状回復についての詳しい内容はこちらをご参照ください。

例えば「退去時はクロスを入居者の負担ですべて貼りかえる」「汚損・破損は入居者負担にて行うものとする」このような文言を賃貸借契約書に記載しても、裁判をすればすべて無効となります。

今回は、国交省の原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)をもとに、一つひとつご案内していきます。

ガイドライン(再改定版)はこちらからお願いします。

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)の66ページの事例ではこうあります。

【事例7】原状回復の特約条項は通常でない使用による損害の回復を規定したものと解すべきとした事例

東京簡易裁判所判決 平成7年8月8日

裁判の概要はこのようになります。

賃貸借契約書に下記のように記載、賃貸借契約書の条項により敷金を充当し返還しなかった。

「明け渡し後の室内建具、襖、壁紙などの汚れは一切賃借人の負担にて原状に回復する」

裁判所の判決の要旨はこのようになります。

建物賃貸借契約書に原状回復条項があるからといって、賃借人は建物賃貸借契約当時の状態に回復する義務はない。賃貸人は、賃借人が通常の状態で使用した場合に時間の経過に伴って生じる自然損耗等は賃料として回収しているから、原状回復条項は、賃借人の故意・過失、通常でない使用をしたために発生した場合の損害の回復について規定したものと解すべきである。

簡単にまとめると、

①使用して汚れるものは賃貸人の負担
②賃貸人は通常使用して汚れる部分(時間の経過に伴って生じる自然損耗等)を賃料として回収している
③特約で定めた契約でも賃借人に義務はない
④原状回復は賃借人の故意・過失、通常使用以外の部分として解釈するべき

としております。

また、同様の趣旨の判例として

①平成8年3月19日東京簡易裁判所判決
②平成9年2月18日川口簡易裁判所判決
③平成9年6月10日京都地方裁判所判決
④平成9年7月2日神奈川簡易裁判所判決
⑤平成15年4月4日福知山簡易裁判所判決

などが挙げられております。

このような判例から賃貸借契約書に色々と書いてても、賃借人の負担すべき義務として「故意・過失、通常使用を超える汚損など」であることが分かります。

もし高額な請求が来てしまったら、払わない「根拠」として判例は十分ではないでしょうか。

経年劣化を考慮

 
最近の問い合わせで、8年入居してたけどクロス貼り替え費用で15万円以上の請求が来ている、というのがありました。

8年も経過したらクロスとしての役目は十分に終わっております。クロスの価値はなくなっております。

クロス貼り替えのトラブルで多いのが「価値のないもの」に対して賃借人に請求すること、「賃貸人の負担」部分を賃借人に請求することです。

経年劣化、減価償却についての詳しい記事はこちらをご参照ください。

例えば、あなたが過失がありクロスを汚してしまったとします。でも6年以上住んでいたらクロスの価値はありませんので、賃貸人に払う必要はありません。

その費用は「賃貸人」が払うべき費用です。

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)の90ページの事例ではこうあります。

【事例24】通常損耗に関する補修費用を賃借人が負担する特約が成立していないとされた事例

最高裁判所第2小法廷判決 平成17年12月16日

裁判の概要はこのようになります。

入居後3年2ヶ月で解約、通常使用に伴う損耗を含んだ補修費用を差し引き敷金を返還。賃貸借契約書には下記のような内容が記載。

住宅内外に存する賃借人または同居人の所有するすべての物件を撤去し、これを原状に復するものとし、本件負担区分表に基づき補修費用を賃貸人の指示により負担しなければならない旨を定めている。

裁判所の判決の要旨はこのようになります。

①通常使用した場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の原価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払いを受けることにより行われている。

②賃借人に通常損耗部分の原状回復義務を負わせるには、少なくとも賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に理解し、それを合意の内容にしたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である。

簡単にまとめると、

①通常使用した場合の経年劣化、減価償却費は賃料に含まれているので、賃借人負担とはならない
②通常損耗部分を賃借人に負担させるときは賃貸借契約書の条項に具体的に明記することが必要
③具体的明記とは退去後に、賃借人負担しなければいけない修繕の範囲や金額などかと考察
④契約書にて明らかにされていない場合は、賃貸人が口頭により説明、賃借人がその旨を明確に理解しなければならない

最高裁判所では、経年劣化部分は賃貸人負担であるとしています。

この経年劣化の部分は過去の判例などでも、経年劣化するのは分かりきったものであり契約期間中の年月の経過による減価分、価値の低下分は賃貸借本来の対価というものであって、賃借人に負担させることは出来ないとしております。
(原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)の84ページの【事例19】)

その他、経年劣化、減価償却に関する判例は下記をご参照ください。

ガイドライン(再改定版)の81ページの【事例17】

ガイドライン(再改定版)の86ページの【事例20】

ガイドライン(再改定版)の90ページの【事例24】

ハウスクリーニング費用

 
ハウスクリーニング費用の負担については、賃貸借契約書への特約の有無、契約締結時の説明の有無などによって賃貸人負担、賃借人負担が分かれます。

このへんのところは以前に、判例を交え詳しく書いてありますのでご参照ください。

今回は、ハウスクリーニング費用は有効となった判例をご紹介します。

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)の99ページの事例ではこうあります。

【事例33】賃借人がハウスクリーニング費用を負担するとの特約を有効とすると認めた事例

東京地方裁判所 平成21年5月21日

裁判の概要はこのようになります。

賃貸借契約の更新時に「明け渡しするときは専門業者のハウスクリーニング代を負担する」という特約を内容として更新。

裁判所の判決の要旨はこのようになります。

ハウスクリーニング費用を賃借人負担とする本件特約は、本件賃貸借契約の更新の際に作成された契約書に明記されており、その内容も、賃借人が建物を明け渡すときは、専門業者のハウスクリーニング代を負担する旨が一義的に明らかといえる。したがって、ハウスクリーニング代は賃借人が負担すべきである。

この判例だけだと分かりにくいですが、簡単にまとめると

①賃貸借契約書に明確に賃借人負担と記載があり
②内容を説明し合意しており
③ハウスクリーニング料金が相場相応で
④特約としての条件を満たしている

ハウスクリーニング費用の有効無効については、ぜひ以前の記事をご参照ください。

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